庚申塔物語

延宝の庚申塔

延宝の庚申塔

続く延宝年間(1673〜81)には、次の塔が多摩地方で造立された。 [表1]参照

表1.多摩地方における延宝年間の庚申塔
No.年銘西暦中尊塔形所在地備考
1延宝1年1673地蔵菩薩光背型町田市木曽町上宿三猿
2延宝2年1674青面金剛笠付型府中市南町6 郷土の森移動
3延宝2年1674(文字)板碑型田無市芝久保町4庚申塚三猿
4延宝3年1675青面金剛笠付型府中市西府3 共同墓地合掌6手
5延宝4年1676弥陀来迎光背型調布市深大寺東町諏訪社三猿
6延宝4年1676青面金剛光背型調布市仙川2-42手青面
7延宝4年1676--流造型町田市三輪町 椙山神社
8延宝5年1677弥陀来迎柱状型町田市小山町 日枝神社三猿
9延宝5年1677(文字)笠付型東村山市久米川町梅岩寺三猿
10延宝7年1679青面金剛光背型町田市広袴町 天王社五猿
11延宝8年1680地蔵菩薩光背型調布市深大寺元町池上院三猿
12延宝8年1680地蔵菩薩光背型稲城市東長沼 常楽寺
13延宝8年1680(文字)笠付型町田市つくし野 小川台三猿
14延宝8年1680(文字)笠付型東久留米市小山2大円寺三猿
15延宝8年1680(文字)笠付型三鷹市新川2 天神社三猿
16延宝8年1680(文字)笠付型三鷹市北野4 庚申堂三猿
17延宝8年1680一猿光背型調布市入間町1-34御幣持
18延宝8年1680青面文字板駒型青梅市吹上 宗泉寺
19延宝8年1680地蔵菩薩光背型府中市若松2 共同墓地
20延宝8年1680(文字)板碑型府中市宮町2 普門寺
21延宝9年1681青面金剛光背型八王子市堀之内 保井寺2手

1の延宝1年塔は、地蔵庚申で三猿を伴う。

2の延宝2年塔は、剣人6手の青面金剛像で美好町3丁目の浅間神社境内にあったものを宮町の郷土館に、 さらに現在地に移した。

3の延宝2年塔は、主銘「為奉造立菩提也」に日月・ニ鶏・三猿の陽刻がある。

4の延宝3年塔は、剣人6手像で下部に三猿、両側面に蓮華を配している。 甲州街道沿いにあったものが現在地に移されている。

5の延宝4年塔は、来迎印の阿弥陀如来を主尊とし、下部に三猿がみられる。

6の延宝4年塔は、剣と索を持つ2手の青面金剛が主尊で、頂部に「バク」の種子、 下部に三猿の陽刻がある。

7の延宝4年石祠は、中尊がなく「奉造立庚申供養所 別當高蔵寺 施主三輪村」の銘を刻む。

8の延宝5年塔は、来迎印の阿弥陀如来の主尊と下部にある三猿を浮彫りする。

9の延宝5年塔は、「這箇菩提功徳主□□ 現當二世安楽者也 庚申供養」の銘に日月と三猿、蓮華がある。

10の延宝7年塔は、合掌6手青面金剛が主尊で日月とニ鶏の他に多摩地方唯一の五猿がみられる。

延宝8年は庚申年に当たり、多摩地方では、この頃から11から20までにみられように庚申塔の造立が増している。

11の延宝8年塔は、地蔵庚申で「為庚申供養二世安楽也」の銘と三猿がある。

12の延宝8年塔も、地蔵庚申で「奉供養庚申」の銘を刻む。

13の延宝8年塔は、「奉修庚申供養也」の主銘で下部に三猿がある。

14の延宝8年塔は、「奉信礼庚申待諸天納受所」の文字塔で三猿と蓮華がみられる。

15の延宝8年塔は、主銘が「奉供養庚申」で、上部に陰刻の日月、中央に三猿の陽刻、下部に施主銘を刻む。

16の延宝8年塔は、新川の15と同日の建立で「奉供養庚申」の文字塔である。

17の延宝8年塔は、御幣を持つ猿が腰をおろした像が主尊で「□申供養二世成就攸」の銘がある。 上部に日月が陰刻されている。

18の延宝8年塔は、多摩地方で初出の「青面金剛」の文字塔で、上部に日月、下部に三猿を刻む。

19の延宝8年塔は、地蔵庚申で「奉待庚申供養結講衆二世安楽」の銘がある。

20の延宝8年塔は、表面が磨滅して判読しにくいが「庚申一結」が読みとれる。

21の延宝9年塔は、八王子市内最古の庚申塔で剣と索を持つ2手像を主尊とする。 日月と三猿がみられる。かつて路傍にあったが、現在地に移されている。

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