庚申塔物語

宝篋印塔の庚申塔

宝篋印塔の庚申塔

宝篋印塔の庚申塔としては、都内にある目黒区中目黒3丁目・十七が坂墓地にある 寛永3年(1626)塔や新宿区上落合1丁目・月見岡八幡神社の正保4(1647)年塔が有名である。

多摩地方には、次の2基がみられる。 [表1]参照

表1.多摩地方にみられる宝篋印塔の庚申塔
No.年銘西暦中尊塔形所在地備考
1宝暦11年1761--宝篋印日野市下田の八幡神社三六度
2年不明----宝篋印八王子市下恩方町辺名中世

1の宝暦11年宝篋印塔は、江戸時代の塔では多摩地方でただ1基である。 塔の基礎の4面には「八幡宮宝前一基造立之意趣青面金剛三六度待念之功成就講中助衆」 「為現世安穏後生善處也 宝暦第十一念辛巳十月吉日 田村山安養寺法印同盛教誌」 「宝篋印陀羅尼経同若人折己見是當□除一切災難往高山察上至心誦□眼」 「根所及世界谷河□中所有毛羽□甲一切生□言木有佛性處大涅槃中」と長い銘文を刻んでいる。 この中の「青面金剛三六度待」は、3年に6度の待(庚申待)を現す。

2の年不明宝篋印塔は、最近、縣敏夫さんが『野仏』第28集に発表されたもので、 基壇正面には「甲神」と「供養」、右面に「一結」と「数」、 左面に「□□」と「二年」、裏面に「一一月」と「吉日」の銘が刻まれている。 縣さんは、これまでの調査から「延徳二年」(1490)と推定している。 詳しくは、同誌の「八王子市下恩方町 中世庚申供養の宝篋印塔」を参照されたい。

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