庚申塔物語

石幢の庚申塔

石幢の庚申塔

石幢の庚申塔といえば、中世に造立された埼玉県秩父郡長瀞町矢那瀬の観音堂にある明応8年(1499)の塔を思い出す。 多摩地方には、稲城市と町田市に各1基みられ、共に単制の石幢である。 [表1]参照

表1.多摩地方にみられる石幢の庚申塔
No.年銘西暦中尊塔形所在地備考
1貞享1年1684(文字)石幢稲城市矢野口 威光寺
2元禄15年1702六地蔵石幢町田市野津田町丸山路傍

1の貞享1年塔は、「ウーン 奉供養庚申待為現當二世悉地成就攸」「貞享元年甲子 願主敬白」 「十二月大吉日 藤原能成」の銘文を彫る。

2の元禄15年塔は、6面の幢身各面の上部に「南無阿弥陀佛」の六字名号の1字、 その下に一体ずつ、合わせて6体の地蔵を浮彫りする。 地蔵の下には、浮彫りの三猿と「奉造立地蔵尊為二世安楽也」 「武州多麻之郡□□領之内野津田郷丸山敬白」 「念佛講拾七人庚申講七人 元禄十五壬午稔九月吉辰」の銘文が刻まれている。

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