燈籠の庚申塔は、研究者によっては庚申塔であり、付属したものだから庚申塔ではないと意見が別れる。 たとえば清瀬市中清戸の日枝神社境内には、 三猿のついた寛文4年(1664)と宝永7年(1710)の2基の燈籠がみられる。 前者には「奉納山王御寳前為諸願成就也」、後者には「山王御寳前奉造立燈籠諸願成就」の銘文があって、 山王宮(日枝神社)への奉賽物とみられる。 従って独立性からいって、三猿があっても庚申塔に準ずるものといえるだろう。
そうした燈籠を含めて、燈籠の庚申塔をみていこう。 [表1]参照
No. | 年銘 | 西暦 | 中尊 | 塔形 | 所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
参 | 寛文4 | 1664 | (文字) | 燈籠 | 清瀬市中清戸 日枝神社 | 三猿 |
参 | 宝永7 | 1710 | (文字) | 燈籠 | 清瀬市中清戸 日枝神社 | 三猿 |
1 | 宝暦11 | 1761 | (文字) | 燈籠 | 檜原村大沢 貴船神社 | 庚申供養 |
2 | 明和4 | 1767 | (文字) | 燈籠 | 檜原村下元郷・和田向 | 庚申塔 |
3 | 明和4 | 1767 | (文字) | 燈籠 | あきる野市乙津 熊野社 | 庚供養 |
参 | 天明4 | 1784 | (文字) | 燈籠 | 八王子市並木町 稲荷社 | |
参 | 天明8 | 1788 | (文字) | 燈籠 | 八王子市東浅川町山王社 | |
参 | 寛政4 | 1791 | (文字) | 燈籠 | 八王子市上恩方町稲荷社 | |
参 | 寛政7 | 1795 | (文字) | 燈籠 | 八王子市川口町 法蓮寺 | |
参 | 寛政10 | 1798 | (文字) | 燈籠 | 三鷹市中原4-16庚申祠 | |
参 | 享和2 | 1802 | (文字) | 燈籠 | 小金井市本町 赤稲荷 | |
参 | 天保4 | 1833 | (文字) | 燈籠 | 八王子市西寺方町 | |
参 | 天保15 | 1844 | (文字) | 燈籠 | あきる野市菅生 蔵守院 | |
4 | 元治1 | 1864 | (文字) | 燈籠 | 東久留米市下里 | 庚申燈 |
参 | 慶応3 | 1867 | (文字) | 燈籠 | 府中市住吉町1 庚申堂 | |
参 | 明治15 | 1882 | (文字) | 燈籠 | 東久留米市氷川台2-3 |
参の寛文4年と宝永7年燈籠は、先に述べたのでここでは省略する。
1の宝暦11年燈籠は、竿石の正面に「庚申供養」、側面に「当處講中」と刻む。
2の明和4年燈籠は、竿石に「庚申塔」「講中拾四人」とある。
3の明和4年燈籠は、円柱の竿石に「庚供養」と刻まれている。
参の天明4年燈籠は、「願主 庚申講中」銘が竿石にある。
参の天明8年燈籠は、竿石4面に「青面金剛庚申」「秋葉大権現」「地蔵大菩薩」「村中安全」と 刻している。
参の寛政4年燈籠は、「献 青面金剛 山王大権現」銘である。
参の寛政7年燈籠は、竿石に「奉納 庚申講中」と刻む。
参の寛政10年燈籠は、竿石に奉納御宝前」とあり、仙川村庚申講中の造立である。
参の享和2年燈籠は、「大山石尊大権現 大天狗小天狗 不動明王尊 庚申 榛名大権現」銘であ る。
参の天保4年燈籠は、「奉納 石尊大権現 秋葉大権現 八幡大菩薩 庚申大権現 榛名大権現 三峰大権現」銘が竿石にみられる。
参の天保15年燈籠は、竿石に「奉献 常夜燈」と刻まれ、菅生村庚申講中15人が建てた。
4の年元治1燈籠は、竿石に「庚申燈」と造立の年銘を刻んでいる。
参の慶応3年燈籠は、竿石に「奉納 青面金剛」とある。
参の明治15年燈籠は、竿石に「猿田彦大神」の銘がある。