馬頭観音を主尊とした庚申塔は稀であるが、板橋区大原町40の長徳寺には、 日月・ニ鶏・三猿・蓮華(台石)を伴う宝永7年(1710)の馬頭観音庚申塔がみられる。 この光背型塔の馬頭観音は、一見すると青面金剛と思うほどである。 よくみると頭上に馬頭があり、像の左右に「奉造立馬頭明王庚申講中」「為二世安楽也」の銘からも馬頭観音とわかる。
多摩地方には、次の1基がみられる。 [表1]参照
No. | 年銘 | 西暦 | 中尊 | 塔形 | 所在地 | 備考 |
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1 | 宝永8年 | 1711 | 馬頭観音 | 駒型 | 東村山市久米川町1路傍 |
1の宝永8年塔は野行路傍に立つ塔で、胸前の第1手は合掌しており、上方の第2手は斧と蓮華、 下方の第3手は弓矢を持つ1面6臂の馬頭観音像である。日月・三猿は、共にない。 「願主了念」のもと「武州多摩郡久米川村庚申待講中二十三人」によって造立された。
なおこの塔は、杉本林志翁が明治初年に歩かれた記録「百庚申巡礼記」の第103番にあげられた「同村野行石灯籠脇 安永八亥八月講中廿三人」である。