不動明王を主尊とした庚申塔は、墨田区墨田4−18にある南葛札所の三猿付の寛文12年(1672)塔や 神奈川県横浜市鶴見区東寺尾中台7の不動堂境内にある三猿付の同年塔が著名である。 また豊島区高田2-12の金乗院境内に、倶利迦羅不動を主尊とする寛文6年(1666)塔がみられる。
多摩地方では、次の1基が不動明王を主尊とする庚申塔である。 [表1]参照
No. | 年銘 | 西暦 | 中尊 | 塔形 | 所在地 | 備考 |
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1 | 貞享1年 | 1684 | 不動明王 | 笠付型 | 八王子市館町上館稲荷社 |
1の貞享1年塔は、剣と索をとる不動明王を主尊とし、下部に三猿がある。 「奉造立庚申待所願成就所」の銘がみられる。
次の項目で述べる「2手の青面金剛」の塔の中には、剣と索をとる青面金剛が、 三鷹市中原4丁目の庚申祠にある寛文6年2手像、調布市仙川町2丁目にある延宝4年2手像、 八王子市堀之内の保井寺にある延宝9年2手像とある。 おそらく館町貞享1年の不動明王も、青面金剛と考えられて造像されたのであるまいか。