庚申塔物語

八手の青面金剛

八手の青面金剛

8手の青面金剛は数があまり多いとはいえないが、東京区部の場合には、 練馬区・渋谷区・北区・大田区・荒川区・世田谷区・葛飾区などに分布している。 これらは、胸前の第1手が合掌するか、剣と人身を持っている。

多摩地方には、次の3基がみられる。 [表1]参照

表1.多摩地方にみられる8手の青面金剛
No.年銘西暦中尊塔形所在地備考
1正徳6年1714青面金剛光背型府中市住吉町1 庚申堂
2宝暦12年1762青面金剛笠付型稲城市百村 妙見寺
3文化12年1815青面金剛駒 型府中市天神町3丁目

1の年塔は西向庚申の祠に祀られるもので、日月と三猿を8手像の上下に配し、「奉供養庚申 同行十一人」の銘を刻む。 胸前の第1手が合掌し、その下の第2手が宝鉢手、上方の第3手に矛と幣、下方の第4手に弓と矢を持っている。

2の宝暦12年塔は、日月・8手青面金剛・一鬼・ニ鶏・三猿を浮彫りする。 胸前の第1手が合掌し、その下の第2手が宝鉢手、上方の第3手に矛と宝輪、下方の第4手に弓と矢を持っている。 この塔の写真は、『野仏』第26集の表紙を飾っている。

3の文化12年塔は、日月・一鬼・三猿を伴う8手像である。 持物は、腹前の第1手には剣と人身上方の第2手には矛と宝輪、中間の第3手に矢と弓、 下方の第4手には索と棒をとる。

多摩地方の8手像の特徴というのは、1と2にみられる第2手が宝鉢手である点で、 こうした8手像は都内ではみられない。

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