庚申塔物語

三面の青面金剛

三面の青面金剛

通常の青面金剛は、1面であるが稀に3面の像が造られる。 板橋区板橋の東光寺にある寛文2年(1662)塔にみられるから、早い時期から造られていたことになる。 多摩地方の場合は、それより年代がくだって宝永6年に次の2基が建立されている。 [表1]参照

表1.多摩地方にみられる三面の青面金剛
No.年銘西暦中尊塔形所在地備考
1宝永6年1709青面金剛笠付型保谷市本町3-8 路傍合掌6手
2宝永6年1709青面金剛笠付型田無市本町3総持寺墓地合掌6手

1の宝永6年塔は、日月・3面の青面金剛・1鬼・ニ鶏・三猿を陽刻し、 年銘の他には「奉造立庚申供養二世安楽所」「武州□□郡上保谷村 本願地代」の銘がみられる。

2の宝永6年塔は、1と同じように日月・3面の青面金剛・一鬼・ニ鶏・三猿を浮彫りする。 銘文は正面に「バク 奉造立庚申甲為二世安楽也」、左側面に「武州多麻郡田無村 同行三十九人」と刻す。 1が9月、2が11月の同一年の造立であるし、しかも地理的にも近いので同じ石工、あるいは同系の石工の作であろう。

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