庚申塔物語

青面金剛心呪

青面金剛心呪

庚申講の勤行で青面金剛心呪が唱えられる場合がある。こうした心呪が梵字で刻まれた庚申塔が、 次に掲げるように八王子市内に2基みられる。 [表1]参照

表1.多摩地方にみられる青面金剛心呪
No.年銘西暦中尊塔形所在地備考
1享保8年1723(文字)笠付型八王子市新町 栄福稲荷
2寛政5年1793青面金剛柱状型八王子市宇津木町 龍光寺移転

八王子市新町の永福稲荷境内に元禄16(1703)年の青面金剛を刻んだ笠付塔があり、その隣に1の享保8年塔がみられる。 塔正面上部の「ウーン」の種子を刻み、その下に小さく「オン」、 右側に「バ バ カ ソワカ」、中央に「ヤ ダ カ カ」、左側に「ティ キシャ ゝ ゝ」と3行に梵字が刻まれている。 縦に読むとそうなるが、実は斜めに「オン ティ バ ヤ キシャ バ ダ ゝ カ カ ゝ ソワカ」と読むと、 梵字で記した青面金剛心呪(庚申真言)であるのがわかる。

2の寛政5年塔は、以前の八王子市高倉町の高倉稲荷境内から現在地の同市宇津木町・龍光寺の墓地(宇津木町738)に移された。 青面金剛は合掌6手立像で塔中央に、三猿は正面向きで台石に浮彫りされている。 左側面に「施主 某甲」とあるが、意味がわからない。 右側面には青面金剛心呪の庚申真言(3字は不明)が刻まれている。 これについては、縣敏夫さんが『野仏』第27集に発表された「八王子市内の庚申塔再見」(6頁)でふれている。

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