庚申塔物語

青面金剛のお札

青面金剛のお札

青面金剛を描くお札は、大阪の四天王寺庚申堂や京都の八坂庚申堂などから発行されている。 多摩地方でみたものには、あきる野市伊奈・上平の8月の庚申堂の祭りにお参りにきた人や囃子連に寄付した人に配られるお札がある。

上平庚申堂のお札は、上部中央に「庚申」と記し、その下に剣人6手の青面金剛と三猿の画像を庚申塔型式に描き、 その右に「武州多摩郡伊奈村」とある。 この版木は、昔から中村家の土蔵にしまわれ、お祭りのときに刷る。 堂内の塔に刻まれた青面金剛は、第1手が合掌し、第2手に宝輪(右手は不明)、 第3手右手に蛇(左手は不明)を持つものだから、お札の青面金剛が第1手に剣と鈷、 第2手に矛と輪、第3手に矢と弓を持つものとは異なる。

このお札の版木については、因縁話が伝えられている。 1年毎に交代する年番が3、40年以前のある年にお姿の版木をうちで預かるといって持って行った。 ところが、その年番の家で不幸が起こった。 翌年も翌々年も次の年番の家でも不幸が起こるので、 お姿の版木は、やはり中村家の土蔵がよいとなった。 再び中村家で版木を保管するようになったが、不幸は起こらなかったという。

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