庚申塔物語

猿田彦の庚申塔

猿田彦の庚申塔

庚申塔にみられる主尊に猿田彦がある。 広く普及するようになったのが遅いために、猿田彦系の庚申塔が少なく、特に刻像塔は稀である。 多摩地方では現在、青面金剛を猿田彦と信じている所があって、 塔に「猿田彦大神」と墨書きしたノボリが奉納されている。 [表1]参照

表1.多摩地方にみられる猿田彦の庚申塔
No.年銘西暦中尊塔形所在地備考
1文化11年1814猿田彦柱状型檜原村白倉裏面青面
2天保2年1831猿田彦駒型青梅市成木7 松木峠

1の文化11年塔は塔の正面上部に日月、下部に三猿を刻み、中央に杖を持った猿田彦の刻像が彫られている。 右側面に「庚申塚 文化十一戌□十二月吉日」、左側面に「猿田彦大神」の銘がある。 塔の裏面には、合掌6手の青面金剛像とその下に三猿が彫ってあるから、青面金剛刻像塔の改造であろう。 この一帯で行われていた庚申講では、猿田彦の木像や掛軸が使われた。

2の天保2年塔は、正面中央に両手で杖を持つ猿田彦の立像を浮彫りし、 像の右に「猿田彦大神」側面に造立年銘を刻む。 1が坊主頭の像であるのに対して、2は有髪という違いがみられる。

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