ニ猿は、庚申塔の造立以前から造られている。後で示すようにそれらは、 弥陀合掌立像や弥陀定印座像を主尊とした懸仏で、正面向きのニ猿や向かい合ったニ猿を鋳出している。 それらを参考にあげた懸仏を含めて表にまとめると、次の通りである。 [表1]参照
No. | 年銘 | 西暦 | 中尊 | 塔形 | 所在地 | 備考 |
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参 | 永禄1年 | 1559 | 合掌像 | 懸仏 | 町田市上小山田町神明社 | 合掌猿 |
参 | 寛永5年 | 1628 | 弥陀定印 | 懸仏 | 八王子市南浅川町山王社 | 合掌猿 |
参 | 寛永11年 | 1634 | 合掌像 | 懸仏 | 町田市常磐町 山王社 | 合掌猿 |
1 | 正徳1年 | 1711 | 青面金剛 | 光背型 | あきる野市乙津 神社 | 合掌6手 |
2 | 宝暦10年 | 1760 | 青面金剛 | 笠付型 | 檜原村千足 檜原神社 | 合掌6手 |
3 | 年不明 | -- | 青面金剛 | 光背型 | 檜原村千足 檜原神社 | 4手 |
参の永禄1年懸仏は、未見なので町田市立博物館編の『町田の石仏』に載っている写真によると、 上部に神像のような合掌立像、下部に合掌する2匹の猿が立って三尊形式を構成している。
参の寛永5年懸仏は、中央に弥陀定印座像、その両脇下に向かい合わせの猿を鋳出している。 この懸佛の写真は、『日本石仏事典』の200頁に載っている。
参の寛永11年懸仏は、未見であるが『新編武蔵風土記稿』によると、 前記の永禄1年懸仏と同じとあるから、合掌立像の同形と思われる。
1の正徳1年塔は大戸里神社境内にあるもので、合掌6手の青面金剛の下で猿が手に蓮華を持って 向かい合っている。
2の宝暦10年塔は、三不型の猿が2匹みられる珍しいニ猿である。
3の年不明塔も同じ所にあるもので、主尊が4手青面金剛と2の合掌6手とは異なり、 主尊を間に挟んで向かい合わせのニ猿がみられる。