庚申塔物語

雑型の三猿

雑型の三猿

先に挙げた桃木型・竹木型・駒曳型・扇子型の4種に属さない変わり三猿を「雑型」としてまとめると、 多摩地方の主な変わり型三猿は、以下に示したものに要約されよう。 [表1]参照

表1.多摩地方にみられる雑型の三猿
No.年銘西暦中尊塔形所在地備考
1寛文10年1670青面金剛柱状型町田市相原町・大戸観音2手
2元禄X年--青面金剛光背型羽村市羽東・禅林寺4手
3寛文10年1670(不明)光背型武蔵村山市岸・猿久保
4年不明--(不明)不明町田市相原町 旧御殿峠上欠

1の寛文10年塔は、一見すると地蔵と思われる2手青面金剛を主尊とする。 この種の主尊像は、神奈川県津久井郡津久井町や愛甲郡愛川町にもあって、 同一の石工か、同じ系統の石工の手になるものであろう。 塔下部の向かい合わせの三猿は、この頃江戸周辺にみられる正面向きで並ぶお行儀のよい菱形三猿(標準型)が多い中でユニークな存在である。

2の元禄塔もこの種のもので、肥えた向かい合わせの三猿を浮彫りしている。

3の寛文10年塔の三猿は、横向きで1列に進む変わり種である。

4の年不明塔は、向かい合わせのニ猿の上に横向きの猿を置くもので、多摩地方には類例がない。

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