青梅市内の庚申塔面に現れた他の信仰との交流で多いのが寒念佛信仰である。 河辺町の元禄4年(1961)塔と駒木町の嘉永2年(1849)塔には「寒念佛」、 青梅の元文3年(1738)塔と富岡の明和2年(1765)塔には「寒念佛供養」とある。 [表1]参照
No. | 年銘 | 西暦 | 中尊 | 塔形 | 所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 元禄4年 | 1691 | 青面金剛 | 光背型 | 青梅市河辺 東円寺 | 合掌6手 |
2 | 元文3年 | 1728 | 青面金剛 | 笠付型 | 青梅市青梅 金剛寺 | 合掌6手 |
3 | 元文5年 | 1740 | 青面金剛 | 柱状型 | 羽村市五ノ神 調査室 | 合掌6手 |
4 | 延享2年 | 1745 | 青面金剛 | 笠付型 | 八王子市高月町 | 合掌6手 |
5 | 延享5年 | 1748 | 青面金剛 | 笠付型 | 八王子市宮下町 | 合掌6手 |
6 | 宝暦4年 | 1754 | 青面金剛 | 笠付型 | あきる野市雨間 路傍 | 合掌6手 |
7 | 宝暦8年 | 1758 | 青面金剛 | 笠付型 | 福生市加美3-26 公園 | 合掌6手 |
8 | 宝暦13年 | 1763 | 青面金剛 | 笠付型 | あきる野市草花 地蔵堂 | 合掌6手 |
9 | 宝暦13年 | 1763 | 青面金剛 | 柱状型 | あきる野市瀬戸岡珠陽院 | 合掌6手 |
10 | 明和2年 | 1765 | 青面金剛 | 柱状型 | 青梅市富岡 愛宕神社 | 合掌6手 |
11 | 安永10年 | 1781 | (文字) | 柱状型 | あきる野市野辺 普門寺 | |
12 | 寛政2年 | 1790 | (文字) | 自然石 | あきる野市留原 旧道 | |
13 | 寛政8年 | 1796 | (文字) | 自然石 | 福生市福生 清巌院 | |
14 | 寛政9年 | 1797 | 青面金剛 | 笠付型 | 八王子市川口町十二社 | |
15 | 文化1年 | 1804 | (文字) | 自然石 | あきる野市二宮 三叉路 | |
16 | 文化5年 | 1808 | (文字) | 自然石 | 青梅市勝沼 乗願寺 | 寒念佛 |
17 | 文化6年 | 1809 | 青面金剛 | 柱状型 | 八王子市大楽寺町神戸 | 合掌6手 |
18 | 文政3年 | 1820 | (文字) | 柱状型 | あきる野市森山 墓地 | |
19 | 文政8年 | 1825 | (文字) | 柱状型 | 福生市福生 長沢墓地 | |
20 | 天保13年 | 1842 | (文字) | 自然石 | あきる野市菅生・四軒在 | |
21 | 嘉永2年 | 1849 | (文字) | 柱状型 | 青梅市駒木町 見籠路傍 | |
22 | 安政5年 | 1858 | (文字) | 自然石 | あきる野市草花 松向寺 | |
23 | 元治1年 | 1864 | (文字) | 自然石 | あきる野市平沢 | |
24 | 年不明 | -- | 青面金剛 | 柱状型 | あきる野市草花 慈勝寺 | 合掌6手 |
1の元禄4年塔は、青面金剛の刻像塔で「寒念佛」の銘がある。
2の元文3年塔に「天下泰平 国土安穏 寒念佛供養」、 3の元文5年塔(美原三叉路から移動)に「奉造立庚申像寒念佛供養塔」、 4の延享2年塔に「寒念佛講中二十人」、5の延享5年塔に「寒念佛供養塔」、 6の宝暦4年塔に「寒念佛講中」、7の宝暦8年塔に「寒念佛講中供養十七人」、 8の宝暦13年塔に「寒念佛塔養講中」、9の宝暦13年塔に「寒念佛供養」、 10の明和2年塔に「寒念佛供養」、14の寛政9年塔は青面金剛で「奉造立寒念佛供養」、 17の文化6年塔に「奉念佛供養往来安全」の銘がみられる。 24の年不明塔には「寒念佛供養塔」とある(以上の1〜10・14・17・24は青面金剛の刻像塔)。
文字塔では、12の寛政2年塔が「庚申塔」の主銘で「寒念佛供養」、 13の寛政8年塔も「庚申塔」で「寒念佛供養」、15の文化1年塔が「庚申供養塔」で「寒念佛講中」、 18の文政3年塔が「青面金剛」で「寒念佛講中造立」、19の文政8年塔が「庚申」で「寒念佛講中七八人」、 21の嘉永2年塔が「庚申」で「寒念佛」、22の安政5年塔が「庚申塔」で「寒念佛供養」、 23の元治1年塔が「庚申塔」で「寒念佛」と寒念佛や寒念佛講に関わる銘文を記している。