庚申塔物語

杉田君と佐藤君

杉田君と佐藤君

杉田博君と佐藤信彰君は、多摩石仏の会の最年少の小学生会員であった。 杉田君は、昭和45年に八王子市『小宮庚申塔資料』、翌46年に庚申塔を含めた『小宮の石仏』をガリ版で発行している。 一方の佐藤君も、昭和45年に奥多摩町『小河内の石仏』や『相模湖町寸沢嵐付近の庚申塔』などをガリ版刷りの私家版で発行している。

こうした小学生の業績を知って、庚申懇話会編の『石仏調査ハンドブック』(雄山閣出版 昭和56年刊 59年に再版・平成5年に新装版発行)で私が分担執筆した「石仏調査の技法」の中で小学生の実例として、次のように記した。

石仏調査というと、何となくむずかしいように感ずる人が多いのではなかろうか。 実際には「そんなことはない」といっても、なかなか納得してはもらえない。 たしかに調査を進めるからには、それなりの努力を必要とすることはいうまでもないが、 やり方によっては、小学生でもできるし、事実、小学生によって立派な石仏調査の報告書が作られている。

多摩石仏の会(東京都)には、杉田博、佐藤信彰の両君が入会しているが、 彼らが小学校六年生の時(昭和四十五年)に、杉田君は『小宮庚申塔資料』を、 佐藤君は『相模湖町寸沢嵐付近の庚申塔』をまとめ、自分で孔版印刷して発行している。 共に十数頁の小冊子にしろ、これが小学生の調査とは思えないような内容だ。 この例からみても、石仏調査が小学生にもできることを証明している。

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